相続した家と土地 どうする診断 5つの質問で診断する
国に引き取ってもらう

いらない土地を国が引き取る制度、
断られるのはどんな土地か

公開: 2026年8月17日

2023年に始まった「相続土地国庫帰属制度」。使わない土地を国に引き取ってもらえる、と聞いて 調べ始めた方が多い制度です。ただし条件がかなり厳しく決められていて、 多くの土地は入口で外れます。何が引っかかるのかを先に確かめておきましょう。

先に結論だけ 建物が残っていると申請できません。この制度は土地だけが対象です。 さらに、古い塀・物置・使われていない井戸といった土地の上にある物や、 隣との境目がはっきりしないことも断られる理由になります。 引き取ってもらう際にはお金もかかります。無料の制度ではありません。

どんな制度なのか

相続や遺贈で受け取った土地を、一定の条件を満たせば国に引き取ってもらえる制度です。 2023年4月に始まりました。

背景にあるのは、持ち主の分からない土地が全国に増えすぎているという問題です。 使う予定のない土地を相続してしまい、手放したくても買い手がつかない。 そのまま放置されて、次の代でさらに分からなくなる。 この連鎖を止めるために作られました。

ただし、国としては管理に手間のかかる土地を引き受けるわけにはいきません。 そのため条件が細かく決められています。ここを知らずに申請の準備を進めると、 書類を揃える手間と費用が無駄になります。

入口で外れる条件

次に当てはまると、審査に進む前に門前払い(却下)になります。

当てはまるものなぜ断られるか
建物が残っているこの制度は土地だけが対象です。母屋も離れも倉庫も含みます
担保がついている住宅ローンなどの抵当権が残っていると引き取れません
他人が使っている貸している、通路として使われているなど、他人の権利がある土地
汚染されている土壌が特定の有害物質で汚染されている土地
境目でもめている隣地との境界がはっきりしない、争いがある土地

このうち、実家の相続でつまずくのは圧倒的に「建物が残っている」です。 住まなくなった実家をそのまま持っている、というのが一番多い形だからです。 引き取ってもらうには、先に取り壊して更地にする必要があります。

審査で外れる条件

入口を通っても、審査で不承認になることがあります。 考え方はどれも同じで、国が管理するのに余計な手間やお金がかかる土地は引き受けないということです。

「更地にすれば通る」とは限りません 建物を壊しても、基礎が地中に残っていたり、古い塀や井戸がそのままだったりすると外れます。 解体を依頼するときは、地中の物も含めて撤去してもらう必要があります。 見積もりを取る段階で、この制度を使うつもりだと伝えておいてください。

実際に断られる理由で多いもの

実務上、却下・不承認になる理由として多いのは次の2つです。

  1. 必要な書類が揃っていない
  2. 土地の上に物が残っている

1つめは、制度の内容以前の問題です。申請には、土地の位置や形が分かる図面、 写真、隣接する土地の所有者の情報などが必要になります。 ここで足りずに差し戻されるケースが目立ちます。

2つめは、多くの方が見落とすところです。 「建物は壊したから大丈夫」と思っていても、 敷地の隅に残ったブロック塀や、ふさいだだけの井戸が該当します。 更地の定義が、一般に思われているより厳しいと考えておいてください。

お金はいくらかかるのか

無料で引き取ってもらえる制度ではありません。かかるお金は2種類です。

これに加えて、建物があれば解体費用、境界がはっきりしなければ測量費用が必要です。 実家の解体は建物の大きさや立地によりますが、決して小さい金額ではありません。

ここで判断が分かれます 解体して、測量して、申請して、負担金を納める。 その合計が、そのまま売った場合の手取りを上回ってしまうことがあります。 とくに建物が残っている場合は、先に「この状態でいくらで売れるか」を確かめてから どちらに進むか決めるのが現実的です。

使えないと分かったときの選択肢

国に引き取ってもらえないと分かった場合、残る道はこうなります。

選択肢向いている場合
相続放棄相続を知ってから3か月以内の場合のみ。ただし預貯金も含めてすべて放棄することになります
そのまま売る建物付き・現状のままで買い取る業者があります。手取りは下がりますが費用の持ち出しがありません
解体してから売る更地のほうが買い手がつきやすい地域の場合。解体費用の回収を見込めるかが判断の分かれ目です
持ち続ける固定資産税と管理の手間が毎年かかります。傷んだまま放置すると税が上がる場合があります

どれが向いているかは、建物の状態・立地・相続からの経過時間で変わります。 まずご自分の場合に何が使えて何が使えないのかを整理するところから始めてください。

あなたの土地は申請できるか

5つの質問に答えるだけで、国に引き取ってもらえそうかどうか、 引っかかる点があればそれが何かが分かります。

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よくある質問

家が建っていても申請できますか?

できません。この制度は土地だけが対象です。母屋はもちろん、 離れや古い倉庫が残っている場合も、取り壊してからでなければ申請できません。

引き取ってもらうのにお金はかかりますか?

かかります。審査手数料のほかに、承認された場合は10年分の管理費用にあたる負担金を納めます。 無料で引き取ってもらえる制度ではありません。

申請が通らないのはどんな場合が多いですか?

実際に多いのは、必要な書類が揃っていない場合と、 土地の上に物が残っている場合です。古い塀、物置、使われていない井戸、 埋設された配管なども該当します。

共有名義でも申請できますか?

共有者全員で申請する必要があります。 一人でも反対する方や連絡がつかない方がいると進められません。

農地や山林でも引き取ってもらえますか?

農地や山林であることだけを理由に除外されるわけではありませんが、 手入れに特別な費用がかかると判断されると承認されません。 個別の判断になるため、法務局の相談窓口で確認してください。